極めて稀に発生する地震や台風に対する建築物の耐震性や耐風性の検討には,等価静的な荷重を用いて静的解析による方法と動的解析による方法とがあります. 前者は主として耐震性の評価に用いられ,一つ一つの柱,はり,ブレース,耐震壁等の弾塑性特性を解析モデルに組み込み,静的増分解析によって行われます. 解析で得られる層せん断力, 変形およびヒンジの発生状況等により保有水平耐力, 塑性変形性能を評価し,いわゆる二次設計や耐震診断に用いられる方法です. 一方,後者は耐震性や耐風性の検討の両方に用いられ,一つ一つの部材をモデル化して解析する場合,静的増分解析から得られる層単位の情報をモデル化して解析する場合があります.時々刻々の応力や累積エネルギーを評価し,免震建物や制振建物などの比較的小さな外力でも非線形挙動を示す建築物,超高層建築物,ライフライン施設等の設計に良く用いられます.
下図は,鉄骨建物の3次元弾塑性解析の事例です.
軸力図の事例 |
ヒンジ図の事例 |